48V DC-DCコンバータ向けインダクタの紹介
2022-07-22
48Vマイルドハイブリッドなど環境対応車の燃費改善や環境規制への対応を背景に自動車の電子化が急速に進み、車載ECUの数や規模は増大しています。
加えて、エンジンへの直接搭載や機電一体化も進んでおり、車載ECUには、より厳しい振動条件かつ高温環境での設置と大電流への対応が求められています。
そのため、車載ECUを構成する電源回路のノイズ除去や電源の平滑化には、高い耐振動性、耐熱性および大電流に対応した電子部品が不可欠となっています。
車載要求に対する対応事例
大電流、大型品(大電流対応パワーインダクタ)
48Vマイルドハイブリッドでは、DC-DCコンバータおよび、入出力フィルターに大電流に対応したインダクタが使用されています。従来は、トロイダルコイルタイプやフェライトタイプ、barタイプなどが広く採用されています。
今回ご紹介する事例は、入出力フィルターで使用される従来品(フェライトタイプ)に対して、当社面実装タイプの車載用パワーインダクタM15A0MFシリーズ、M1280MFシリーズでの置換えた事例を紹介します。
従来のトロイダル、フェライトタイプの20㎜角のインダクタを、当社M15A0MFシリーズ、M1280MFシリーズに置換えることで部品の小形化によって実装面積の省スペース化が可能です。
また面実装タイプのためポッティング接着が不要で、接着レスで実装できるため工数の削減できます。さらに、一般品が5G程度の耐振性に対して、当社製品では30Gの耐震性を保証しており、信頼性を大きく向上させることも可能になります。
今回提案したシリーズではそれぞれに特長があり、M15A0MFシリーズは、一般品と同等以上の定格電流が必要でより低い直流抵抗値を要求されるアプリケーションに優位であり、従来と比較しても小型化が可能となります。
一方、M1280MFシリーズはより実装面積の省スペース化が要求されるアプリケーションに優位であり、従来と比較しても実装面積を40%以上削減することが可能です。
ご使用の回路で電流容量が不足している場合においても、必要な仕様に合わせて並列で接続することで対応が可能となります。
表1 大電流品のスペック比較
耐振性能(高耐振動性パワーインダクタ)
環境対応の流れの中で、ユニットの小型化の観点からエンジンへのECUの直接搭載や機電一体化が進んでおり、合わせてECUに搭載する電子部品にもより厳しい振動条件かつ高温環境での設置の対応が求められています。
その市場のニーズにお応えするため、当社は耐振動性能50G以上を実現した高耐振動性パワーインダクタをラインアップ展開しております。
従来品は、自己共振周波数が2000Hz付近と低いため、耐振動性に課題がありました。
当社は独自の金属磁性材料を用いたメタルコンポジット材料の採用と独自の巻線および成型技術によって、自己共振周波数が3000Hz以上と高く、耐振動性50G以上を有するコイルを実現しました。
また、従来は耐振動性能を確保するために、ボンディング(接着)剤で部品を固定する補強が必要でしたが、端子の引出し位置の高さを当社従来品比1/2に低減し、実装基板に近い位置に配置することで優れた耐振性を実現しています。
さらに車載ECUには高い耐振動性だけでなく、耐熱性と大電流への対応が同時に要求されています。
従来、30G以上の高耐振動対応コイルは低背でサイズが小さいため、大電流に対応できないという課題がありましが、当社高振動品は50G以上の耐振動性を実現しながら、優れた耐熱性と大電流へも対応しています。
まとめ
今後のクルマの電動化をはじめとした車載機能の高性能化に伴い、電気回路を流れる電流値やECUの搭載数が増加していきます。
その中で当社は、高い信頼性を持つパワーインダクタによって信頼性の向上に努めるとともに、ECU基板の省スペース化、工数削減による環境負荷の低減に貢献し続けます。