抵抗器とは?役割や回路記号(新旧JIS)原理・種類をプロが解説

 

抵抗器とは?役割や回路記号(新旧JIS)原理・種類をプロが解説

公開日:2018-04-16
更新日:2026-06-19

抵抗器は、コンデンサやインダクタとともに最も基本的な部品であり、ありとあらゆる電気・電子機器に数多く使われています。電気に携わる者にとっては当たり前過ぎて、普段は疎かにしてしまっているかもしれませんが、抵抗器がなければ電気・電子回路は成立しません。抵抗器は、それほど重要な部品なのです。

以下のリンクから、コンデンサの基本知識についての内容を短くまとめた解説動画もご覧いただけます。
コンデンサの概要についてスピーディーに理解したい方は、こちらをご覧ください。

1. 抵抗器とは:役割と動作原理(オームの法則)

1-1. 抵抗器の役割

抵抗器は、一定の電気抵抗を持った受動部品です。
抵抗器の働きは、オームの法則「電圧(V)=電流(I)×抵抗(R)」に基づいています。
主な役割は、電流制御、分圧、電流検出、バイアスを与える、の4つです。

【電流制御】
抵抗器は電子回路の電流を定格以下に制御できます。例えばLED回路の場合、LEDと直列に抵抗器を接続し、電流を定格以下に抑制することで、LEDの焼損を防ぎます。

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【分圧(電圧を分ける)】
2個以上の抵抗器を直列に接続した時、接続する抵抗値に比例した任意の電圧に分けることができます。

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【電流検出】
抵抗器に電流が流れた時、その両端には電流を変換した電圧が発生します。
この電圧を測定することで回路に流れる電流を測定することができます。

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【バイアスを与える】
トランジスターなど半導体を動作させるための電圧を与えることを〝バイアスを与える〟と言います。
このバイアスは、トランジスターの各端子(エミッタ、コレクタベース)に異なった電圧を印加する必要があります。

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上記以外に、ダンピング抵抗、終端抵抗、プルアップ/プルダウン抵抗等としても使用されます。

1-2. 抵抗器の原理

抵抗の値は、抵抗体物質の固有抵抗及び、その断面積と長さによって決まります。



R =
 

ρ・L

S

R
抵抗値(Ω)
L
長さ(㎝)
W
幅(㎝)
T
高さ・厚み(㎝)
S
断面積(W・T)
ρ
固有抵抗(Ω・㎝)

式が示すとおり、固有抵抗ρ(Ω・cm)に抵抗体の長さLをかけた値を断面積Sで割ったものが抵抗値になります。参考までに金属の固有抵抗を示します。

金属の固有抵抗例
金属名 記号 固有抵抗
(μΩ・cm)
Au 2.40
Ag 1.62
パラジウム Pd 10.8
ニッケル Ni 7.24

2. 抵抗器の単位と回路記号(新旧JIS・IEC規格)

2-1. 抵抗器の単位と基本表記

抵抗値の単位は「Ω(オーム)」で、ドイツの物理学者ゲオルク・オームにちなんで命名されています。例えば1Vの電圧で1Aの電流が流れるとき、抵抗値は1Ωとなります。抵抗値を表す記号には英語の「Resistor」の頭文字から「R」が用いられ、回路図上では抵抗器を表す回路記号として「○○Ω」などと併記されます。

2-2. 抵抗器の回路記号の違い(現行JIS・IEC/旧JIS・ANSI)

回路記号そのものは、国や規格によって2種類が存在します。現在の国際規格IECおよび現行JIS規格(JIS C 0617-4)では抵抗器はシンプルな長方形(矩形)の記号で表します。一方、古いJIS規格(JIS C 0301)および米国ANSI規格では、抵抗器記号にジグザグの折れ線を使用していました。

JISでは1990年代後半に記号の国際統一が行われ、抵抗記号はジグザグから長方形に変更されています。この変更からすでに20年以上経過していますが、教科書や現場ではなお旧来の記号も使われており、新旧記号が混在する状況です。特にベテラン技術者や米国の図面では今でも波形の抵抗記号が現役で使われるケースがあります。したがって、設計者は両方の記号に慣れておくことが重要です。

なぜ抵抗器の記号は変わったのか

主な理由の一つは国際的な回路図記号の統一で、各国で記号が異なると不便なためIEC国際規格に合わせた経緯があります。

もう一つは設計のデジタル化に伴う実用上の理由です。CADで回路図を書く際、複雑なジグザグ記号より長方形の方がデータ管理やレイアウトが容易であり、記号内部に「10kΩ」などの文字を書き込んでも重なりにくいという利点があります。

現在日本の規格上は長方形が正規の抵抗記号ですが、実務上は前述のようにジグザグ記号も広く使われています。回路図を読み解く際には両方の記号の意味を理解しておく必要があります。

ただし回路図上の記号は同じ長方形であっても、実際の基板上ではチップ抵抗のサイズ(0603や1005など)によって占有面積が異なる点に注意しなければなりません。サイズ選びを間違えると、基板に部品が収まらなくなったり、発熱に耐えられず抵抗器が焼き切れて故障の原因になったりする恐れがあるからです。

そのため、回路図面に記された抵抗値や公差といった情報が、抵抗器のサイズや熱への強さとどう連動しているのかを正しく理解することが、確実な設計を行うための第一歩となります。

3. 抵抗値の読み方、許容差と技術用語

3-1. 設計時に役立つ「抵抗器の主要用語」

抵抗器には仕様や定格を示すパラメータがあります。それらの技術用語をまとめました。太字で示した4つは、抵抗器の基本となるパラメータです。

定格電力(W) 定格温度にて連続印加できる電力の最大値。
抵抗値(Ω) 電気抵抗の大きさ。抵抗値の数値は公的規格で標準化されている。
抵抗値許容差(%) 許容される抵抗値の上限および下限。抵抗値の精度を示す。
抵抗温度係数(×10-6/K) 周囲温度の変化に対する抵抗値の変化率。
素子最高電圧(最高使用電圧)(V) 連続して印加できる電圧の最大値。
カテゴリ温度範囲(℃) 連続的に使用可能な周囲温度の範囲。
直流抵抗値(Ω) 直流電圧を印加して測定した場合の抵抗値で基準となる値。
耐電圧(V) 絶縁外装している製品の絶縁性を確保できる外装への最大の印加電圧。
絶縁抵抗(Ω) 絶縁外装している製品の外装の最小抵抗値。
はんだ耐熱性 はんだ中に浸漬した場合の電気的、機械的安定性。
耐湿性 湿気に対する電気的、機械的安定性
温度サイクル 温度の変化に対する電気的、機械的安定性。
耐久性(負荷) 定格温度中で定格電圧を連続印加したときの電気的、機械的安定性。
端子強度 端子部に機械的負荷を加えた場合の機械的強度。
耐振性 振動に対する電気的、機械的安定性。
難燃性 過負荷時の自己消化性、非引火性。

3-2. 抵抗値の決め方(E系列・カラーコード)

最適な抵抗値を決定するために必要な、設計の根拠となる以下の3つの基礎知識について説明します。

抵抗値の規格(E系列)

抵抗値の表記には一定の規則があります。抵抗器の公称抵抗値は「1Ω、2Ω、3Ω…」のような単純な整数だけではなく、2.2Ωや4.7Ωといった値も広く使われています。これは抵抗値が標準数列(E系列)と呼ばれる規格化された数値セットに沿って決められているためです。

E系列では、公差(許容差)ごとに使用する数値の刻みが決められています。例えば、E12系列はおおよそ±10%、E24系列は±5%、E96系列は±1%の精度に対応する系列です。具体的には、E12系列では1~10の間を10の12乗根間隔(約1.21倍刻み)の12個の数値で区切っており、1.0・1.2・1.5・1.8・2.2・2.7・3.3…という値が得られます。

E系列は一定の比率で数値が並んでいる等比数列であるため、たとえば電圧を1/3にしたいと思ったとき、1kΩ台ならこの組み合わせ、10kΩ台ならこの組み合わせ、というようにどの桁の抵抗を使っても、常に同じ数値の組み合わせで、狙った通りの比率を作ることができます。E系列によって抵抗の数値は半端に見えますが、これは実用上理にかなった値なのです。

系列 抵抗値許容差の目安 公比 抵抗値 (例)
E12 ±10% 1210≈1.21 1.0, 1.2, 1.5, 1.8, 2.2, 2.7, 3.3, ・・・
E24 ±5% 2410≈1.10 1.0, 1.1, 1.2, 1.3, 1.5, 1.6, 1.8, ・・・
E96 ±1% 9610≈1.02 1.00, 1.02, 1.05, 1.07, 1.10. ・・・・
抵抗値の表示ルール(カラーコード・数字コード)

抵抗器本体への抵抗値表示は形式によって異なります。リード線型の抵抗器では、カラーコード(色帯)によって抵抗値と許容差が表示されています。

カラーコードはJIS C 5062 / IEC 60062で定められた規格で、例えば茶-黒-赤-金という4本のカラー帯は「1」「0」「×102」「±5%」を意味し、10×102 = 1000Ω(=1kΩ)±5%を表します。カラーコードの読み取りには色と数字の対応を覚える必要がありますが(黒=0、茶=1、赤=2、…金=±5%など)、慣れると抵抗器の値を直感的に把握できるようになります。

小型のチップ抵抗器では物理的に色帯を印刷できないため、数字コードで抵抗値を印字するのが一般的です。例えばチップ抵抗に「103」と印字されていれば、「10」と「3」が意味する10×103 = 10kΩを表します。

また「4R7」のように欧州式のR記号表記で値を示す場合もあります。これは小数点位置の代わりにRを置く表記法で、4R7であれば4.7Ωを意味します。

考慮すべき主要パラメータ

抵抗器を選定・使用する際には許容差や温度係数、定格電力などのパラメータにも注意を払う必要があります。

抵抗値許容差とは、公称値に対してどれだけ誤差が許容されるかを百分率で示したものです(例:±5%、±1%など)。

抵抗温度係数(TCR)は温度変化に対する抵抗値変動の割合で、通常「ppm/℃」または「×10−6/℃」の単位で示され、値が小さいほど温度安定性に優れます。

定格電力は抵抗器が規定の温度環境で連続して印加できる最大電力で、例えば「0.25W(1/4W)」などの形で指定されています。定格電力を超えて使用すると過熱により抵抗値が変化したり、焼損する恐れがあるため、設計では余裕を持った選定が必要です。

4. 抵抗器の構造と種類

抵抗器には数多くのバリエーションがあり、以下の組み合わせで決まります。

4-1. 抵抗値の固定・可変

抵抗器は、あらかじめ抵抗値が決まっている固定抵抗器と、必要に応じて値を調整できる可変抵抗器の2つに大別されます。設計時は回路の役割に応じてこれらの使い分けが必要です。

固定抵抗

固定抵抗器は、あらかじめ決められた抵抗値を持ち、使用中にその値を変えない抵抗器です。回路内の電圧や電流を一定に保つための基本的な素子であり、電子回路で最も広く使用されます。

可変抵抗のような可動部を持たないため、温度変化や振動、経年劣化に対しても安定した性能を発揮し、長期にわたる信頼性に優れている点が特徴です。内部の構造や基板への実装方法により、チップ抵抗器、リード付抵抗器、巻線抵抗器などのバリエーションが存在します。回路の規模や電力負荷、求められる精度に応じて、これらのバリエーションの中から適した構造を選びます。

可変抵抗

可変抵抗器は、抵抗値を連続的に可変できる抵抗器です。内部にある摺動子(しゅうどうし)という部品が抵抗体の上を動くことで、抵抗値を調整する仕組みです。主に以下の2種類があります。

  • ポテンショメータ
    つまみやスライダーを使い、ユーザーが頻繁に操作することを前提とします。オーディオの音量調節、照明の明るさ調整などが代表例です。
  • 半固定抵抗(トリマ)
    基板上に実装され、小型ドライバーで精密なネジを回して抵抗値を調整します。製品の出荷時やメンテナンス時に、センサの増幅率補正や電圧の微細なズレを解消し、製品ごとの個体差を調整する目的で利用されます。

可変抵抗は構造上、摺動子による接触抵抗や経年変化が生じるため、精密な安定性が要求される場合には敬遠されがちです。しかし、部品のバラつきや使用環境に合わせた微調整が不可欠なシーンでは有効であり、多くの電子機器に欠かせない調整部品として組み込まれています。

4-2. 抵抗体の材料と内部構造

抵抗器の精度や耐えられる熱は、内部の材料や構造によって決まります。主な構造は以下の3つです。

膜構造

セラミックス基板などの上に抵抗膜を形成した最も汎用的な構造です。製造方法によって、厚膜と薄膜に大別されます。厚膜は安価でサージに強く、多くのデジタル機器で標準的に使われています。一方、薄膜は膜を極めて緻密に形成するため、高精度で温度による抵抗値の変化が少ないという特徴があり、アナログ計測器などの精密な回路に欠かせません。

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巻線構造

金属の抵抗線を芯に巻き付けた構造です。大電力に耐えられるだけでなく、サージに対しても壊れにくい頑丈さを備えています。この特性から、電源回路の突入電流対策などに採用されます。一方で、巻線構造に由来するインダクタンス成分を持つため、高周波回路には不向きです。

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金属板構造

金属の板そのものを抵抗体とした構造です。皮膜構造では実現が難しい数mΩほどの低い抵抗値を安定して作ることができ、主に電流検出用途に特化しています。金属そのものを厚みのある抵抗体として使用するため、大電流を流しても熱による抵抗値の変化が少なく、高い精度で電流を測定できるのが利点です。

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4-3. 基板への取り付け方

基板の設計に応じて、主に以下の2つの取り付け方が使い分けられます。

表面実装型

基板の表面に直接実装するタイプです。表面実装型では、チップ抵抗器と呼ばれる形状が一般的です。現在の電子機器の主流であり、小型で高密度実装と自動実装に適しています。サイズによって定格電力や許容電圧が異なるため、実装面積だけでなく電気的条件も考慮して選定する必要があります。

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挿入実装型

基板の穴にリード線を通して固定するタイプです。手はんだがしやすく、試作や大きな熱を逃がしたい用途に用いられます。基板を貫通して固定されるため、振動や物理的な衝撃、リード線を引っ張る力に対して高い耐性を発揮します。挿入実装型で一般的に使われるのがリード付抵抗器です。

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5. 【実践】設計・実装方法に合わせた抵抗器の選定

設計における抵抗器の選定は、回路基板のサイズ要求や実装方法、抵抗器に求められる性能など、複合的な要求事項を満たすものを選択する必要があります。

どのような手順で条件を絞り込んでいけばよいか、設計時の判断基準を以下のチャートにまとめました。

5-1. 実装方法からの選定

近年は表面実装(SMD)が主流ですが、回路規模や電力要求によってリード挿入型やネジ止め固定型の抵抗器を選択する必要があります。基本的には回路基板全体の実装方針を前提に検討し、可能であれば1つの基板では実装方法を統一することが理想です。

表面実装と挿入実装(リード挿入)のそれぞれに利点と欠点があります。設計時にどちらを採用すべきか、判断基準となる主な観点を以下にまとめます。

表面実装(チップ抵抗器)

基板上の実装面積を大幅に節約でき、高密度実装や自動実装に適しています。0402や0603など小型サイズはモバイル機器等でも多用されており、低コストで大量生産に有利です。一方で、はんだ接合部が小さいため機械的衝撃や振動に対する耐性はリード品より劣ります。放熱の多くを基板に依存するため1個あたりの許容電力を大きく確保するには限界があります。

省スペース化が最優先されるデジタル回路やモバイル機器ではチップ抵抗器をメインに採用し、高電力や高い衝撃が加わる箇所には適切なサイズ選定や分散して配置することが大切です。

チップ抵抗のサイズ表記には、ミリ表記(mm)とインチ表記(inch)の2種類が存在します。国内メーカーのカタログではミリ表記が一般的ですが、海外図面や一部の設計ソフトではインチ表記が使われるため、混同しないよう注意が必要です。

ミリ記号(JIS) インチ記号(EIA) 外形寸法(長辺×底辺)
0402 01005 0.4 mm x 0.2 mm
0603 0201 0.6 mm x 0.3 mm
1005 0402 1.0 mm x 0.5 mm
1608 0603 1.6 mm x 0.8 mm
2012 0805 2.0 mm x 1.2 mm
3216 1206 3.2 mm x 1.6 mm
挿入実装(リード抵抗器)

部品のリード線を基板に差し込んではんだ付けする実装方法で、接合が強固で機械的な信頼性に優れます。振動や衝撃への耐久性が求められる用途、および手はんだによる部品交換が頻繁な試作評価の段階ではリード型が選ばれます。また、抵抗器本体が大きく空気中に熱を逃がしやすいため、小型チップでは対応が難しい大電力の用途にも適しています。

その反面、実装には広い基板面積を必要とするため高密度化には不利であり、小型・軽量化が要求される機器では使用が難しくなります。さらに、スルーホール部品を用いる場合は自動挿入やフローはんだ付けなど追加の工程が必要となるため、量産時の工数やコストが増加する点にも留意が必要です。

5-2. 性能、特性、サイズ要求からの選定

抵抗器の選定では、実装方法だけでなく、性能、特性、サイズに関する要求も考慮する必要があります。高精度・高信頼性が求められる場合や、使用環境が厳しい場合には、選べる抵抗器の種類が限られることもあります。

設計時に確認すべき主なポイントは以下の通りです。

抵抗値許容差

必要な抵抗精度に応じて、抵抗器の種類を選定します。高精度な計測回路やセンサ等の信号増幅回路では、±0.1%以下の低許容差品が必要になることがあり、薄膜チップ抵抗器や金属皮膜抵抗器が適しています。

一方、デジタル回路のプルアップ用途など、精度要求がそれほど厳しくない場合は、±1%〜±5%程度の標準許容差品で十分です。こうした用途では、コストと信頼性のバランスに優れた製品を選ぶのが一般的です。

抵抗温度係数(TCR)

高精度な計測回路やセンサ等の信号増幅回路では、温度による抵抗値のズレを抑えるため、低TCRの抵抗器が求められます。 薄膜チップ抵抗器はTCRが小さく、温度変化に対して安定した特性を持つため、高精度用途に適しています。一方、温度変化の影響が比較的小さいデジタル回路では、コストパフォーマンスに優れた厚膜チップ抵抗器が広く使われています。高精度な計測回路やセンサ等の信号増幅回路では、温度による抵抗値のズレを抑えるため、低TCRの抵抗器が求められます。

薄膜チップ抵抗器はTCRが小さく、温度変化に対して安定した特性を持つため、高精度用途に適しています。一方、温度変化の影響が比較的小さいデジタル回路では、コストパフォーマンスに優れた厚膜チップ抵抗器が広く使われています。

定格電力と放熱

抵抗器が連続して安全に消費できる電力(定格電力)も重要です。計算上の消費電力に対し、信頼性のため通常は、少なくとも2倍以上の定格を持つ抵抗器を選定します。

小型チップ抵抗器は定格電力が小さいため、必要な電力が大きい場合はサイズを大きくするか、複数の抵抗器に電力負荷を分散させることが有効です。また、高電力用途では放熱性に優れたパワー抵抗器を選ぶこともあります。高電圧が印加される回路では、最高使用電圧にも注意が必要です。

サイズ・形状

基板上のスペースや高さ制限に応じて抵抗器のサイズ(形状)を決定します。チップ抵抗器は小型で薄く、限られたスペースでも実装できますが、サイズが小さいほど定格電力も低くなります。

逆に3216サイズ以上の大きめのチップやリード抵抗器は、より高い電力を処理でき熱放散にも有利です。高さ方向の制約が厳しい機器ではチップ抵抗器などの薄型品が適しており、立てて実装したり背の高い高電力用のリード抵抗器は物理的に実装できない場合があります。

環境耐性

抵抗器は、使用環境の温度、湿度、大気中の成分によって適した種類が異なります。高温環境では高耐熱品、高湿度環境では耐湿性に優れた製品を選ぶ必要があります。

特に注意が必要なのは、硫黄成分を含む雰囲気です。自動車の排ガスやゴム部品由来のガスなどにより電極が硫化すると、断線の原因になることがあります。そのため、こうした環境では耐硫化構造の抵抗器を選定します。塩害や腐食性ガスが想定される場合も、用途に応じた耐環境性タイプの検討が必要です。

特殊用途への対応

回路の電流計測が必要な場合は、シャント抵抗を使用します。シャント抵抗は電流検出用に用いられる極めて小さい抵抗値の抵抗器で、大電流回路でも安定した検出ができる点が特徴です。

また、高抵抗値や高電圧を扱う回路では、高圧対応品や抵抗器の直列配置を検討します。さらに、ノイズ特性が重要な回路では薄膜チップ抵抗器や金属箔抵抗器が有効です。複数抵抗の比精度が重要な分圧回路では、ネットワーク抵抗を用いて温度変化による比率のズレを抑える方法もあります。

5-3. チップ抵抗器の選定

チップ抵抗器を選択する際、求められる性能・特性を満たすことが前提ですが、一般的には次のようなステップで選定すると効率的です。

  1. 単体か複合かを決める
  2. 単体チップ抵抗器の種類を選択する
  3. 複合チップ抵抗器の種類を選択する
  4. 定格に合ったサイズを選ぶ
  5. その他の性能比較で最終決定する
①単体か複合かを決める

個別のチップ抵抗器を使うか、複数抵抗を一つにまとめたパッケージ(複合抵抗)を使うかを検討します。多数の抵抗を搭載する回路では、抵抗アレイやネットワーク抵抗を用いると部品点数や実装スペースを削減でき、抵抗間のマッチング精度も向上する利点があります。少数であれば汎用の単体チップ抵抗器で十分です。

②単体チップ抵抗器の種類を選択する

単体のチップ抵抗器を使う場合、厚膜チップ抵抗器と薄膜チップ抵抗器のどちらが適切かを決めます。許容差や温度係数、ノイズなど精度面の要求が高ければ薄膜タイプを、標準的な精度で良い場合はコスト面で有利な厚膜タイプを選ぶのが一般的です。

③複合チップ抵抗器の種類を選択する

複数抵抗を1つのパッケージにまとめる場合、大きく分けて多連チップ抵抗器(抵抗アレイ)とチップネットワーク抵抗の2種類があります。複数の独立した抵抗器を単純に一本化したい場合には多連チップ抵抗を、端子を共通化したバス抵抗など特定の回路構成に効率よく対応したい場合にはチップネットワーク抵抗を、というように目的に合わせて使い分けます。

④定格に合ったサイズを選ぶ

使用する電圧や消費電力に合わせて、抵抗器のサイズ(形状コード)を選択します。一般的に、1608や2012といった汎用的な小型チップは定格電力が1/10W〜1/8W程度に限られています。定格1Wが必要な場合はこうした小型チップでは容量不足となるため、大型のパワーチップ抵抗を採用するか、もしくは複数の小型チップを並列配置して負荷を分散させるといった対策を講じます。

⑤その他の性能比較で最終決定する

上記の検討で複数の候補が残る場合、さらにその他の特性で比較検討します。例えば、長期安定性や周波数特性、自己発熱特性、価格や入手性などです。同じような定格ならば、抵抗温度係数や雑音特性が優れるものを選ぶといった判断になります。

以上のように、チップ抵抗器の選定では、必要な性能を満たしつつ、コストや実装条件も含めて最適なタイプを選ぶことが重要です。

6. 抵抗器の信頼性と故障モード(断線・ショート)

抵抗器を含む電子部品の信頼性は、製品の安全・寿命に直結する重要な要素です。まず押さえておきたいのは、品質と信頼性の違いです。品質とは初期不良の少なさを指します。例えば、100個中1個が不良であれば、不良率は1%です。一方、信頼性とは時間の経過とともに故障が起きにくいことを意味します。

仮に納入時は全数良品でも、使用中に経年劣化やストレスで故障が発生すれば、それは信頼性上の問題となります。抵抗器の信頼性は通常、故障率を表すFIT(Failures In Time)という単位で評価されます。FITは10の9乗(10億)時間あたりの故障数を示す指標であり、例えば○○FITのように示されます。一般に信頼性の高い抵抗器ほど長時間の動作でも故障が起きにくく、結果として機器全体の信頼性向上につながります。

抵抗器で想定される故障モードは大きく分けて下表で示す2つです。

故障モード 代表的な要因 主な設計対策
断線(オープン) 過電流・過電圧による過負荷、サージ・パルス印加、高温多湿、腐食性ガス、基板応力 定格に余裕を持たせた設計、ディレーティング適用、耐硫化抵抗器の採用、防湿対策、基板応力を考慮した実装設計
短絡(ショート) 高湿度環境、イオン汚染、フラックス残渣、銀マイグレーション 洗浄工程の管理、防湿コーティング、耐マイグレーション性を考慮した部品選定

6-1. 断線(オープン)モード

抵抗器の抵抗値が極めて大きくなり、回路が遮断状態になる故障です。抵抗体が焼損したり、経年劣化や腐食で導電経路が断たれたりすることで発生します。

原因としては、過大な電流や過電圧による過負荷で抵抗素子が熱破壊するケースが代表的です。また、硫化ガス環境ではチップ抵抗内部の銀電極が硫黄と反応して硫化銀(Ag₂S)となり絶縁状態になることで抵抗値が急上昇し断線に至ることがあります。高温多湿環境や腐食性ガス環境での長期使用も、抵抗値が徐々に規格外にずれて最終的に遮断する要因です。

設計上の対策として、十分な定格余裕を持たせ過負荷とならないようにする、硫黄対策がされた耐硫化抵抗器を選ぶ、湿度対策としてコーティング処理を施すなどが有効です。

6-2. 短絡(ショート)モード

抵抗器両端の抵抗値が極めて低くなり、事実上導通してしまう故障です。抵抗器では稀なモードですが、高湿度やイオン汚染などの環境では発生することがあります。回路によっては大電流が流れて重大な二次被害を引き起こすため、警戒すべき故障モードです。

主な原因はイオンマイグレーションと呼ばれる現象です。高湿度下で直流電圧が印加されると、抵抗器内部や表面で微小な金属イオンが移動・析出して樹枝状の導電パス(ツリー状結晶)を形成することがあります。特にチップ抵抗器内部の銀電極で発生する銀マイグレーションは、保護膜の劣化や不適切なフラックス残渣によって誘発され、陰極・陽極間を金属樹枝が橋渡しし、ショートに至ります。

対策として、実装時に活性の高いハロゲン系フラックスを残さないように洗浄を徹底する、抵抗器表面に防湿コーティングを施してイオンの移動を防ぐ、あるいはマイグレーション耐性の高い設計を行うといった手段があります。

抵抗器は断線モードが支配的でショートモードはレアケースではあるものの、設計段階から故障モードと原因を理解しておくことが重要です。特に過負荷による抵抗値の経時変化はじわじわ進行し発見しづらいため、定期的な信頼性試験(耐久試験、温度サイクル試験、湿度負荷試験など)で劣化傾向をモニタリングすることが推奨されます。

また、万一の故障時に安全に回路を遮断する回路設計や、逆にショートしても過電流保護が働く設計にしておくなど、フェイルセーフ設計も信頼性確保の観点では欠かせません。

7. 安全にご使用いただくための注意事項(ディレーティング)

抵抗器を長期にわたって安全に使用するには、定格を超える条件で使用しないよう、十分な余裕を持って設計することが基本です。設計時に見落としがちな熱の影響と、適切なマージンの取り方について解説します。

ディレーティングとは

ディレーティングとは、抵抗器を長期にわたって安全に使用するために、あらかじめ負荷を軽減して使用する設計手法のことです。

抵抗器には定格電力や定格電圧が定められていますが、これは「この値までは故障せず連続使用できる」という上限値に過ぎません。実際には、定格いっぱいで使い続けると部品温度が非常に高くなり、部品の寿命や周囲の部品に悪影響を及ぼす可能性があります。

抵抗器は電流を流すと自身がジュール熱で自己発熱します。温度が高くなるほど抵抗値の変動や経年劣化が大きくなり、極端な場合は絶縁劣化や発煙・発火の危険も生じます。そのため、定格に対して十分なマージンを持って使用することが推奨されます。例えば定格0.25Wの抵抗であれば、実際の回路では0.1~0.15W程度までに抑える、といった運用が望ましいです(実際の推奨値は各社の設計ガイドに従います)。

使用環境に応じて余裕を持って設計する

抵抗器の許容電力は周囲温度が高くなるほど低下するため、データシートのディレーティング曲線に基づいた適切な負荷制限と物理的な熱対策を講じることが重要です。

多くの抵抗器はデータシートにディレーティング曲線(負荷軽減曲線)というグラフが記載されています。ディレーティング曲線は、温度が高くなるにつれて、その抵抗器がどの程度の電力に耐えられるかを示したグラフです。

一般的な抵抗器は、70℃付近までは100%の力を発揮できますが、それを超えると右肩下がりに使える電力が減少します。例えば、定格0.25Wの抵抗器の場合、100℃まで上がると本来の約半分(約0.12W)、130℃では約4分の1(約0.06W)までしか電気を流せなくなります。

近年では周囲温度ではなく抵抗器端子部の温度を基準に定格を規定する製品もあります。これは実装密度が高く周囲温度と抵抗温度が乖離しがちな状況でより実態に即した評価ができるようにするためです。

また、抵抗器の種類によっても許容温度や負荷特性は異なります。例えば巻線型やセメント抵抗器は高温に強い傾向にありますが、その場合でも周囲の部品や基板に伝わる熱には注意が必要です。不燃性ケースに覆われたセメント抵抗などは仮に過負荷となっても発火はしませんが、その分非常に高温になります。定格範囲内の使用でも、抵抗器本体温度が100~200℃以上になることは珍しくありません。したがって、筐体内の放熱や近接する部品への熱影響を考慮し、必要ならヒートシンクや放熱スペースを設ける、筐体に通気孔を用意する等の対策も有効です。

総じて、抵抗器を安全に使うポイントは「余裕を持って、涼しく使う」ことです。部品選定の段階からディレーティングを取り入れ、想定される最悪の条件でも定格の7~8割以下の負荷で動作するように設計しましょう。こうすることで抵抗器の寿命が飛躍的に延び、回路全体の信頼性も向上します。特に高温多湿や長期動作が前提の機器では、ディレーティングなしでは数千時間程度で抵抗値が劣化するケースもあるため注意が必要です。

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チップ抵抗器
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