USB Type-Cの高出力給電に対応した
「導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POSCAP)」を製品化
2025-9-18

本製品は、USB給電規格であるUSB Power Delivery(USB-PD)3.1に対応する、電源の電圧安定化やノイズ除去に最適なコンデンサです。以前は最大100W(20V/5A)までだったUSB Type-Cコネクタでの供給電力が、USB-PD 3.1では最大240W(48V/5A)まで拡大できるのが特徴です。これにより、普及が拡大しているUSB Type-Cコネクタでの高速データ転送や急速充電が可能となり、出力を要するディスプレイなどの大型機器などへのさらなる用途拡大が期待されています。
一方、ノートパソコンをはじめとする情報通信機器は小型・薄型化が求められており、限られたスペースに搭載できるよう、コンデンサには超高耐圧・大容量かつ低背品の両立が求められています。当社は、1997年に「導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POSCAP)」の量産を開始、リーディングカンパニーとして業界初の製品を創出してきました。このほど、独自の“粉末成型技術”と“皮膜形成技術”により、業界最低背となる高さ3mm品で超高圧・大容量の両立を実現した2モデルを製品化しました。
1. 特長
- 業界最低背*1の高さ3mm品でUSB Type-Cの高出力給電に対応する超高耐圧・大容量※2の両立を実現
- USB-PD3.1対応モデルを50V、63Vでラインアップ
- 低背化により、使用部材削減および環境負荷の低減に貢献
*2 USB- Power Delivery3.1(180W/240W出力)に対応する定格電圧50V、63Vの高耐圧かつ静電容量22μF以上の大容量導電性高分子タンタル電解コンデンサ
1-1. 業界最低背※1の高さ3mm品でUSB Type-Cの高出力給電に対応する超高耐圧・大容量※2の両立を実現
USB-PD3.1対応の電源に求められるコンデンサ特性を低背で実現するためには、トレードオフの関係にある大容量化と高耐圧化を両立させる必要があります。大容量化に向けては、電極材料に大容量のタンタル粉末を用いる必要がありますが、大容量タンタル粉末は粒子サイズが小さく成形加工が難しいため、安定生産には課題がありました。
また高耐圧化に向けては、電極表面への均一な誘電体膜形成が重要ですが、大容量タンタル粉末材料を用いた電極は電極内の細孔が非常に小さいため、誘電体酸化被膜に欠陥ができやすいという課題がありました。
当社では、大容量タンタル粉末を均一な密度で成形する独自成形技術を新たに確立し、さらに皮膜を欠陥がなく均一に形成するための成膜プロセスの最適化を図り、USB Type Cの高出力給電に求められる超高耐圧・大容量で業界最低背となる3mm品の開発に成功しました。

1-2. USB-PD3.1対応モデルを50V 、63Vでラインアップ
当社では、これまで導電性高分子タンタル電解コンデンサは耐圧35Vまでの展開であり、USB-PD3.1で拡大された36V(180W)/48V(240W)ラインに適合するモデルはありませんでした。今回、新たに超高耐圧となる50V/63Vの2モデルで22 μF以上の大容量を業界最低背である3mm高さで実現。用途、機器の仕様に応じて、使い分けが可能となります。
定格電圧 | 35V品 |
---|---|
品番 | 35TQT56M |
静電容量[μF] | 56 |
定格リプル[mArms] | 1200 |
ESR[mΩ] | 100 |
サイズ*4 | L7.3 x W4.3 x H1.4 |

50V品*3 | 63V品*3 |
---|---|
50TQT33M | 63TQT22M |
33 | 22 |
1200 | 990 |
100 | 150 |
L7.3 x W4.3 x H2.8 | L7.3 x W4.3 x H2.8 |
*4 製品寸法公差 長さ(L)±0.3mm、幅(W)±0.2mm、高さ(H)±0.2mm
1-3. 低背化により、使用部材削減および環境負荷の低減に貢献
業界標準サイズ*5に比べて、体積が25%削減可能なため、使用部材の削減による環境負荷の低減に貢献します。

アプリケーション
- ノートパソコン、ディスプレイなどの情報通信機器および周辺機器のUSB-PD3.1対応電源の電圧安定化やノイズ除去
- USB-PD3.1対応コネクタのアーク放電対策
