DC/DCコンバータにおけるコンデンサ員数削減による省スペース化の実例紹介!
2026-1-23
近年、自動車業界では排気ガス規制の強化を背景に、車載アプリケーションの電動化が急速に進んでいます。これに伴い、自動車内の電力消費が増加しており、電流の増大によるワイヤーハーネスの重量増加が課題となっています。
この課題に対する有効な解決策として注目されているのが「電源電圧の48V化」です。EPS(電動パワーステアリング)やクーリングファンなどの高出力アプリでは、12V駆動から48V駆動への移行が進められており、これにより低電流化による軽量設計が可能となります。現状車両には、48V、12V駆動のアプリケーションが搭載されており、DC/DCコンバータによる電源供給設計が必要となります。電動化とアプリケーションの多様化により消費電力は増加傾向にあり、DC/DC電源には高出力かつ小型化の両立が求められています。
このような市場の要求に対して、当社の導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサにおいて、小型、省スペース化を実現した置換え提案の事例をご紹介します。
1. Step1 お客様の電源情報の確認
まずはお客様のDC/DC電源の仕様について確認します。本事例では、入力電圧24V、出力12V/10A(消費電力120W)、12V出力の電圧変動の許容幅は±5%、電源のスイッチング周波数300kHz、負荷過渡応答速度はスルーレート10A/usとなります。また、DC/DC電源内部の部品の高さ制限は20mm以下で設計されています。現設計では、出力用コンデンサとして、当社ハイブリッドコンデンサZCシリーズ(125℃ 4,000h保証、25V 330uF、ø10x10.2mm、ESR20mΩ)を3個使用頂いています。今回はハイブリッドコンデンサの使用員数を削減し、省スペース化設計を検討します。
| 入力電圧 Vin | 24 V |
|---|---|
| 出力電圧 Vout | 12 V |
| 負荷電流 | 10 A |
| スイッチング周波数 | 300 kHz |
| 立ち上がり | 1 A → 10 A |
|---|---|
| 立ち下がり | 10 A → 1 A |
| スルーレート | 10 A/us |
2. Step2 省スペース化が期待できるコンデンサの選定
現状の出力用コンデンサとして使用されているハイブリッドコンデンサから、出力用コンデンサに要求されるトータル容量値、トータルESR値、トータルリプル電流値のターゲット性能の概略値を推定します。(図表2)
現設計にて当社ハイブリッドコンデンサZCシリーズ(25V 330uF、リプル電流2Arm、ESR20mΩ)を3個使用していることから、トータル静電容量1000µF、トータルリプル電流6mA、トータルESR6.7mΩと推定しました。
この概略値から、同様の要求仕様を満たし、使用員数削減や省スペース化が期待できる最適な品番を当社ラインアップより、ZKシリーズ(EEHZK1E471P)、ZKUシリーズ(EEHZK1E561UP)、ZSUシリーズ(EEHZS1E102UP)に絞込み、置換え可否検証のため回路シミュレーションを実施しました。(図表3)
| シリーズ | ZC |
|---|---|
| 定格電圧 | 25 V |
| 静電容量 | 330 uF |
| サイズ | ø10x10.2 |
| リプル電流 | 2 Arms |
| ESR | 20 mΩ |
| 員数 | 3個 |
| スペース | 360 mm2 |
| トータル容量 | 1000 uF |
|---|---|
| サイズ | ø10以下 |
| リプル電流 | 6 Arms |
| トータルESR | 6.7 mΩ |
| シリーズ | ZK | ZKU | ZSU |
|---|---|---|---|
| 品番 | EEHZK1E471P | EEHZK1E561UP | EEHZS1E102UP |
| 定格電圧 | 25 V | 25 V | 25 V |
| 静電容量 | 470 uF | 560 uF | 1000 uF |
| サイズ | ø10x10.2 mm | ø10x10.2 mm | ø10x10.2 mm |
| 員数(予測) | 2 | 2 | 1 |
3. Step3 回路シミュレーションによる検証
次に、選定した置換え候補品番において回路シミュレーションを実施した結果について説明します。
置換え評価は、前述のお客様のDC/DC電源の仕様と動作条件にて、負荷過渡応答の立ち上がり時と立ち下がり時のそれぞれで、現状設計の出力電圧の変動が同等以下となるかを回路シミュレーションを用いて確認しました。
回路シミュレーションを行う上で、コンデンサのシミュレーションモデルは、低周波数から高周波数帯域まで実測値と整合性が高い20素子モデルを使用し、回路シミュレーションの精度向上も図りました。
現行設計品番および、置換え検証する3品番の回路シミュレーションの評価結果を図4に纏めました。
- ZKシリーズ(員数2個):
DC/DC電源の負荷過渡応答の立ち上がり時は225mV、立ち下がり時は235mVと、出力電圧の変動は現行設計と同程度。部品の実装面積の削減効果は-33%。 - ZKUシリーズ(員数2個):
DC/DC電源の負荷過渡応答の立ち上がり時は214mV、立ち下がり時は222mVと、出力電圧の変動は現行設計より良化。部品の実装面積の削減効果は-33%。 - ZSUシリーズ(員数1個):
DC/DC電源の負荷過渡応答の立ち上がり時は222mV、立ち下がり時は234mVと、出力電圧の変動は現行設計と同程度。部品の実装面積の削減効果は-66%。
今回選定した3品番それぞれの回路シミュレーションにおいて、電源の重要特性(負荷急変時の電圧変動)において、現行設計と同等以上の性能を満たせることが確認できました。(図表4)この結果から、員数が削減でき、最も省スペース効果が期待できるZSUシリーズ(EEHZS1E102UP)での置換えをご提案しました。
| コンデンサ シリーズ |
実装面積 削除効果 |
立ち上がり 1 A→10 A
(spec:△V=600mV) |
立ち下がり 10 A→1 A
(spec:△V=600mV) |
省スペース | 出力電圧 安定性 |
||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() |
![]() |
||||||
ZC
25V330uF ø10x10.2mm |
![]() |
224 mV | - | 234 mV | - | - | - |
ZK
|
![]() -33% |
225 mV | 同等 | 235 mV | 同等 | 〇 | 〇 |
ZKU
|
![]() -33% |
214 mV | 良化 | 222 mV | 良化 | 〇 | ◎ |
ZSU
|
![]() -66% |
222 mV | 同等 | 234 mV | 同等 | ◎ | 〇 |
4. まとめ
当社からのZSUシリーズ(EEHZS1E102UP)での置換え提案に沿って、お客様でのDC/DC電源基板による実機評価を実施いただいた結果、置換え可能と判断頂き、基板の省スペース化設計に貢献することができました。
コンデンサ置換え検証はあくまでも回路シミュレーション上での評価にとどまるため、最終的な実機での検証は不可欠です。ただし本事例のように実装面積削減に適したコンデンサを、膨大な品番から条件に適合する置換え品を効率的に絞り込むことで、部品選定にかかる設計工数が大幅に短縮できます。
当社の部品モデルとシミュレーションツールを活用し、お客様の設計最適化をサポートできればと思いますので、ぜひお困りごとがございましたらご相談ください。







