逆起電圧

逆起電圧

定義

逆起電圧とは、コイルなどの誘導性負荷に流れる電流が変化したときに、その変化を妨げる向きに生じる電圧です。印加した電圧とは逆向きの極性で発生することからこう呼ばれます。
直流電流が一定に流れている間は発生せず、通電の開始時と遮断時に発生します。

解説

コイルには、流れている電流を維持しようとする自己誘導という性質があります。
スイッチを切って電流を止めようとしても、コイルは直前まで流れていた電流を流し続けようとするため、端子間に逆向きの電圧が現れます。
このときの大きさは次の式で表されます。
V = - L x dI / dt
Lはインダクタンス、dI/dtは電流変化率(Iは電流、tは時間)です。
式が示すとおり、電流を急に変化させるほど発生する逆起電圧は大きくなります。
逆起電圧が発生するタイミングと電圧波形
図1 逆起電圧が発生するタイミングと電圧波形

特に問題になるのは通電遮断の瞬間です。
スイッチング素子で電流を切ると電流変化率が非常に大きくなるため、逆起電圧は印加電圧の数倍から10倍程度に達することがあります。このコイルによる逆起電圧がトランジスタやFETに加わると、素子の耐圧を超えて破壊に至ります。事例として、リレーのコイルをトランジスタで制御する回路では、逆起電圧がコレクタ・エミッタ間の定格電圧を超えて壊れる例が知られています。

逆起電圧は、リレー、ソレノイド、電磁弁、DCモータ、ファンモータ、トランス、インダクタなど、コイルを含む誘導性負荷全般で発生します。
コイルなどの部品を駆動する回路では、常に対策を前提に設計します。

基本的な対策は、コイルに並列に還流ダイオード(フライホイールダイオード)を接続することです。
カソードを電源側、アノードをスイッチング素子側で接続すると、遮断した瞬間にコイルへ流れ続けようとする電流がダイオードを通ってループ内を還流してエネルギーが消費されます。これによりスイッチング素子の端子間電圧はダイオードの順方向電圧程度に抑えられ、過大な電圧は加わりません。
応答速度を優先する用途では、還流ダイオードだけでは電流の減衰が遅いため、ツェナーダイオードにより電圧のクランプ値を上げる方法や、抵抗とコンデンサを組み合わせたスナバ回路を併用する方法があります。いずれも、抑えたい電圧と許容できる遮断時間のバランスで選びます。

図2 還流ダイオードによる逆起電圧対策
図2 還流ダイオードによる逆起電圧対策

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