ノイズ対策はノイズの種類と性質を知ることから始まる

2017-09-25

ノイズ対策

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ノイズ対策はノイズの種類と性質を知ることから始まる

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ノイズとは

ノイズとは、目的以外の電圧、電流、信号などのことを言います。そして、ノイズには非常に多くの種類があります。そのため、アプリケーションや分野によって対象にしているノイズの種類が大きく異なる場合が多々あります。例えば、無線通信では干渉して通信品質を低下させる電磁波、スイッチング電源ではスイッチング時のリンギングなど実に様々です。また、強電分野と弱電分野の技術者が日常イメージしているノイズは、その電圧や電流、性質が大きく異なるのは想像に容易いと思います。

さらに、種類の多さに加えて1種類のノイズが複数の呼称を持っている場合が少なくありません。トランジスタなどの基本ノイズの1つである1/fノイズは、フリッカーノイズやピンクノイズとも呼ばれます。サージとスパイクは過渡電圧ノイズですが、サージはミリ秒台、スパイクはナノ秒からマイクロ秒台という持続時間での使い分けがあるのですが、あまり厳密ではない印象があります。

ノイズは基本的に不要なものです。したがって、ノイズが問題となる場合はノイズを排除、もしくは低減する対策が必要です。しかしながら、ノイズ対策はノイズの性質により異なるので、ノイズの種類別に対策を講じる必要があります。また、信号伝送では必要な信号とノイズを明確に分離することが困難な場合が多く、許容できるレベルで折り合いをつけるといった対処も必要になります。

こういった理由から、ノイズ対策は「ノイズの種類と性質を知る」ことから始まると言えます。ここで、ノイズの種類を簡単にまとめてみました。分類に関しては様々な考え方があると思いますが、ノイズの発生源と伝わり方の観点で分類しました。

ノイズの発生源:自然ノイズと人工ノイズ、外来ノイズと内部ノイズ

ノイズの発生源は大きく分けて、自然界に元来存在する自然ノイズと、人間が作り出した物や現象による人工ノイズになります。自然ノイズの代表例としては空電雑音(雷放電)、太陽雑音、宇宙雑音などです。ここで、「ノイズ」が「雑音」となっていますが、これらの場合は「雑音」とされることが多いです。人工ノイズに関しては、電気を使う人工物は基本的にノイズを出しています。よく例に挙がるのは、点火プラグやスイッチ、モータなどですが、生活に身近な電子レンジやTV、PCやスマートフォンでも人工ノイズを発しています。

ノイズの発生源に関して、ノイズ源が外部なのか内部なのかという観点があります。自然か人工かという観点はある意味普遍的なものですが、外部か内部という観点はノイズの影響を受けるものを基準に考えますので、ときに入れ替わることがあります。先に示した自然ノイズは基本的に外来ノイズです。人工ノイズには外来と内部の両方があります。

例えばTVを基準にした例だと、ACラインからの雷サージは自然の外来ノイズです。自動車が通ると稀に画像や音声が乱れるのは点火プラグ等で発生する電波が原因で、これは人工の外来ノイズです。このTVは内部にスイッチング電源、そして高速CPUや画像処理LSIを搭載しており、基本的にスイッチングノイズや高速デジタル信号に起因するノイズを発しています。これは人工の内部ノイズです。このノイズはTV自体には影響が出ないように対策が採られていますが、このTVにラジオを近付けるとラジオの受信状態が悪くなり雑音が出ます。これは、ラジオから見ると、TVが発している人工の外来ノイズの影響受けていることになります。

ノイズの伝わり方:伝導ノイズと放射ノイズ

ノイズは、伝導ノイズと放射ノイズの2種類に大別することができます。

伝導ノイズは、電源や信号のケーブル、プリント基板の薄膜配線などの導体を通じて伝わるノイズです。電源ラインと信号ラインの両方に伝わります。電源ラインには、サージ、リプル、スパイク、信号ラインにはアナログ系のフリッカー(1/f)、ショット、熱雑音、デジタル系のクロストーク、反射(リンギング、オーバー/アンダーシュート、ジッタ)などのノイズがあります。

放射(輻射)ノイズは、空中に放出(放射)されるノイズです。ラインに伝導ノイズが存在しノイズ電流が流れている以上、配線やケーブルをアンテナとして電磁波が放出されます。これは不要電磁波であり、つまりノイズ(放射ノイズ)です。

EMC(電磁両立性)

近年、製造する機器にEMCに関する規制や規格への準拠を求められることが当たり前になってきましたので、外来ノイズと内部ノイズの話に関連して、EMCについても若干説明をします。EMCはElectromagnetic Compatibilityの略で、「電磁両立性」や「電磁適合性」などと訳されており、EMI(Electromagnetic Interference)-電磁妨害(電磁干渉、電磁障害)と、EMS(Electromagnetic Susceptibility)-電磁感受性を包括しています。EMCは、電磁妨害(EMI)をしない、電磁妨害を受けても性能を維持できる(EMS)、という2つを両立することを意味しています。EMIには伝導ノイズと放射ノイズの両方があり、EMSではそれぞれに耐量が求められます。

以下の図は、今までの説明をまとめたものです。

今までの説明をまとめた図

実際のノイズ対策部品

ここまで、ノイズの発生源と大枠の種類について説明してきました。先に記しましたが、ノイズ対策はノイズの性質により異なるので、ノイズの種類別に対策を講じる必要があります。そのために、ノイズの種類や性質に合わせた様々なノイズ対策部品が用意されています。以下に、具体的なノイズの種類に対する対策部品を示します。

1)信号ノイズ

LVDSなどの差動信号データ伝送における同相ノイズは伝導ノイズの1つで、信号品質を低下させます。また、シングルエンドの信号ラインも、外部、内部を問わず様々な伝導ノイズと放射ノイズの干渉を受けます。信号に干渉するノイズには、フィルタ用に以下のノイズ対策部品が対応します。

2)電源ノイズ

スイッチング方式の電源は、スイッチングにともなうリプル、リンギングやスパイクなどのノイズを発生します。これらのノイズは電源ラインを通じて給電するデバイスにノイズを伝導します。同様に高電圧、大電流のスイッチングノイズは、放射ノイズとなり周囲に干渉します。このような電源ノイズには、フィルタ構成やノイズ遮断用に以下のノイズ対策部品が対応します。

3)電磁波ノイズ

電磁波ノイズには、外来の自然および人工の放射ノイズ、内部のスイッチング電源や高速データ伝送などの放射ノイズがあります。EMIの観点からはノイズ放射の低減、EMSの観点からはシールドなどの対策が必要で、以下の対策部品が対応します。

4)静電気ノイズ

物質に帯電した静電気の放電は、短時間でキロボルト台に及ぶ高電圧が特徴で、電子機器の誤動作を誘発したり電子部品にダメージを与えたりします。静電気ノイズの対策には、静電気放電の特性を考慮した以下の対策部品が有用です。

5)サージ

一般的なのは落雷ですが、車載機器ではバッテリの遮断によるロードダンプが問題になります。サージは大きなエネルギーを持つので、その対策にはサージ対策を前提とした対策部品が必要です。

パナソニックでは、様々な種類のノイズに対応するノイズ対策部品の広範なラインナップを用意しています。

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