インダクタ(コイル)の基礎知識(1)基本構造・記号・電圧と電流

2018-09-03

基礎講座

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インダクタ(コイル)の基礎知識(1)
~基本構造・記号・電圧と電流~


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インダクタ(コイル)とは

インダクタは、抵抗器(R)とコンデンサ(C)に並ぶ重要な受動部品で、コイルと呼ぶこともあります。一般にコイルは導線を巻いたもの全般を指し、その中で巻線が1つのものを特に近年はインダクタと呼ぶ傾向があります。
(以下、コイルは省略してインダクタとします)

インダクタのシンボルには通常「L」が使われます。この「L」は、電磁誘導に関する「レンツの法則」のレンツ(Lenz)に由来すると言われていますが、諸説があるようです。

インダクタの基本的な構造は導線がコイル状に巻かれたもので、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換しインダクタ内部に蓄えることができます。蓄えられる磁気エネルギー量はインダクタのインダクタンスで決まり、単位はヘンリー(H)です。

インダクタの基本構造とインダクタンス

最も基本的なインダクタは導線をコイル状に巻いたもので、導線の両端が外部端子になっています。近年は、コアを用いてコアに導線を巻いたものが大半を占めています。

インダクタの基本構造とインダクタンス graph

インダクタのインダクタンスは、以下の式で求められます。

 
L =

kμSN2

l

L
インダクタンス(H)
k
長岡係数
μ
コアの透磁率(H/m)
N
コイルの巻数
S
コイルの断面積 (m2)
l
コイルの長さ(m)

インダクタンス

この式からインダクタンスは、1)断面積Sを大きくする、2)巻数Nを増やす、3)コアを入れて透磁率µを増す、ことで大きくなることがわかります。

インダクタの電気用図記号

インダクタの電気用図記号は新記号が使用されるべきですが、まだ旧記号と混在しているようです。新記号と旧記号を以下にまとめました。大きな違いは、新記号はループを描かないのと、コア材料の区別がなくなった点です。参考までにトランスの記号も入れました。点がついている場合は、点のある方向(端子)に電流が流れるようにバイアスをかけます。

新記号 旧JIS記号
インダクタ(コアなし)
インダクタ(鉄系コア)
インダクタ(フェライト系コア)
トランス

インダクタの電圧と電流

インダクタは、構造のところで説明したように単純には電線を巻いたものですので、電圧を印加すると基本的に電流が流れます。ただし、電磁誘導による作用を利用する目的の部品ですので、単に電流が流れるわけではありません。直流と交流を印加した場合のインダクタの作用を説明します。

●直流を印加した場合

回路図が示すように、スイッチによりインダクタに直流を印加するとインダクタに電流が流れ、インダクタ(巻線)に流れる電流の変化により発生する磁束も変化し、インダクタに起電力(誘導起電力)が発生します。基本的にインダクタは単独の巻線なので、これを「自己誘導」といいます。この起電力は電流と反対方向に発生し電流の増加を妨げます。逆にスイッチをオフにして電流が減少しようとするとそれを妨げます。

電流(IL)は、スイッチオンで流れ出しますが起電力によって増加を妨げられるためある時定数を持って立ち上がり、立ち上がった後は抵抗成分に依存して一定電流が流れ、スイッチがオフになると電流が立ち下がりますが同じようにある時定数を持ってゼロになることを示しています。

電圧(VL)は、スイッチオン時とオフ時のインダクタの起電力を示しています。インダクタに発生する起電力は、式が示すように電流の変化率(ΔI /Δt)に比例します。

 
V = L

∆I

∆t

V
: 起電力(V)
L
: インダクタンス(H)
ΔI /Δt
: 電流の変化率(A/s)

スイッチオン時は先の電流波形図が示すように比較的ゆっくり電流が増加するので、起電力は電源電圧までしか上昇しません。スイッチオフ時は電流が瞬時に寸断されるため、オン時に比べ電流の減少が急激で時間あたりの変化率が大きくなることから、より高い起電力が発生します。

なお、スイッチオフ時に電流が瞬時にゼロにならないのは、インダクタで発生する高電圧によってスイッチの端子間で放電電流が流れるためです。

この様な高い起電力を発生できるのは、最初の「インダクタとは」に記したようにインダクタは、「電気エネルギーを磁気エネルギーに変換しインダクタ内部に蓄えることができる」からです。蓄積できるエネルギーは、以下の式で表すことができ、インダクタンスの大きさに比例します。

W=

1

2

LI2
W
: エネルギー(J)
L
: インダクタンス(H)
I
: 電流(A)

●交流を印加した場合

前記の説明で、インダクタに発生する起電力の大きさはインダクタに流れる電流の変化率に比例すると述べましたが、これは交流波形の場合でも同じです。

  1. まず電流がゼロから上昇する時は電流の変化率が最も大きいため電圧は大きくなりますが、電流の上昇速度が遅くなるに従い電圧は低下し、電流が最大になった時点(電流の変化率がゼロ)で電圧はゼロとなります。
  2. 電流が最大値から下降を始めると、マイナスの電圧が発生し始め、電流がゼロになったポイント(電流の変化率が最大)で電圧は最低となります。
  3. ,の領域についても上記と同様に考えれば分かると思います。

この電流と電圧の波形を見ると、電流波形が正弦波であれば、電圧波形も正弦波になっており、また電流波形は電圧波形より1/4周期後ろにずれている(電流の位相が90°遅れている)ことが分かります。

また、電流の変化が大きいと大きな電圧が発生するということは、電流の変化率が大きい高周波ほど電圧が大きくなることも分かると思います。
しかし、実際のインダクタの電圧は交流電源の電圧と同じであるため、電圧を基準にして考えれば、一定電圧で周波数を高くすると流れる電流が小さくなると言えます。

つまり、交流の場合は周波数が高くなるほど流れる電流を通しにくくなり、インダクタが抵抗器のような働きをします。
これをコイルの誘導性リアクタンス(XL)といいます。誘導性リアクタンスと流れる電流は、以下の式で表すことができます。

インダクタとコンデンサの比較

ここまでの説明からインダクタの特徴をコンデンサと対比してまとめると下表となります。
このようにインダクタはコンデンサとは真逆な特性を示す電子部品です。

項目 インダクタ コンデンサ
電圧と電流の関係 電流の変化率が大きいほど
大きな電圧が発生する
電圧の変化率が大きいほど
大きな電流が流れる
直流電流 通す 通さない
交流電流 高周波になるほど通しにくい 高周波になるほど通しやすい
電圧に対する電流の位相 90°遅れる 90°進む

この記事に関する製品情報

●インダクタ (コイル)

https://industrial.panasonic.com/jp/products/inductors

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