業界で求められる技術やデバイス(3) ~サーバーにおける採用事例~

2021-06-25

業界で求められる技術やデバイス

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業界で求められる技術やデバイス(3)
~サーバーにおける採用事例~

近年、使用数が大きく伸びているMLCCですが、MLCCは温度変化や電圧印加によって静電容量が大きく変化するなどのデメリットがあります。
そこで、温度変化や電圧印加による静電容量の変化がほとんどない導電性高分子コンデンサへの置換えで基板の小型化や員数削減ができたアプリケーション事例の紹介と、導電性高分子コンデンサの特長について解説します。

サーバーにおけるMLCCから導電性高分子コンデンサへの置き換え

サーバーにおけるMLCCから導電性高分子コンデンサへの置き換え事例について、下記の3つの事例を紹介します。

  • 事例1. MLCCからOS-CONへの置き換え
  • 事例2. MLCCからPOSCAPへの置き換え
  • 事例3. MLCCからSP-Capへの置き換え

事例1. MLCCからOS-CONへの置き換え

サーバーにおいて48Vと比較的高い電圧箇所で使用されるMLCCからの置き換え事例を紹介します。
高圧側の置き換えには高耐圧、高リプルが特長のOS-CON(導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ)がおすすめです。
高圧側は自身が発する熱も含めて周囲温度が高くなる傾向にあり、高温でも安定して動作する信頼性が求められます。
MLCCからOS-CONへの置き換えることで実効静電容量は維持したまま、実装面積は約60%サイズダウン、員数は9pcsから1pcへの削減を実現しています。

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事例2. MLCCからPOSCAPへの置き換え

続いて、サーバーの12VラインにおけるMLCCからの置き換え事例を紹介します。
12Vラインでは必要な静電容量を確保しつつ省スペース化が図れる小形形状が要求されるため、POSCAP (導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ)が最適です。
POSCAPは陽極にタンタル焼結体、陰極に独自製法で形成した高伝導性の導電性高分子を使用しており、その構造により、小形で低背ながら低ESR、優れた高周波特性を有しています。
MLCCからPOSCAPへの置き換えにおいて、実装面積は約60%サイズダウン、員数も10pcsから1pcへの削減を実現しています。

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事例3. MLCCからSP-Capへの置き換え

最後に出力側の低圧ラインにおけるMLCCからの置き換え事例を紹介します。
この用途では大きな負荷変動に追随して瞬時に電力供給を行なわせるために、大容量、低ESRが必要で、 また基板背面への取り付けを考慮した低背品が望ましいため、SP-Cap(導電性高分子アルミ電解コンデンサ)が最適です。
SP-Capは業界トップクラスの超低ESRを誇り、また製品高さ2㎜以下の低背を特長としています。
下記の置き換え事例では実装面積は変わらないものの、員数はMLCCが31pcsに対し、SP-Capでは3pcsとなり、大幅な員数削減を実現しています。

導電性高分子コンデンサの特長

導電性高分子コンデンサの特長について紹介します。 導電性高分子コンデンサはその名の通り、電解質に導電性高分子を使用しており、低ESR、高リプル電流、安定した温度特性、優れた高周波特性と高い信頼性を実現したコンデンサです。

しかし、低ESRとは言ってもMLCCほど低くはありません。
次のグラフはMLCCと導電性高分子コンデンサ(SP-Cap)のインピーダンス特性を比較したものです。
このグラフを見ればインピーダンスの共振ポイントでの値(≒ESR)はMLCCが低いものの、250kHz以下におけるインピーダンスは導電性高分子コンデンサが低い値を示していることがわかります。
このインピーダンス値の交点はそれぞれのコンデンサの特性値(C,ESR,ESL)によって変わりますが、実使用周波数が概ね300kHz以下であれば、導電性高分子コンデンサはMLCCに負けないノイズ吸収効果が得られると言えます。

MLCCを導電性高分子コンデンサに置換えて基板の小型化や員数削減ができる最大の要因は、DCバイアスや温度変化による静電容量の低下がほとんどないことによります。
MLCCではDCバイアスや温度変化による静電容量の低下が大きいため、それを考慮した設計をすると員数が多くなってしまいます。導電性高分子コンデンサではDCバイアスや温度による静電容量の低下がほとんどなく、また導電性高分子コンデンサはMLCCに比べて部品1個当りの静電容量が大きいことから、MLCC複数個を導電性高分子コンデンサ1個で置き換えることができるため、員数の削減や実装面積の削減が可能です。

この他にもMLCCからの置き換えでは以下のメリットがあります。

・音鳴き、微振動が発生しない
MLCCは電圧がかかると材料固有の圧電効果により変形(伸縮)が生じます。この現象により実装基板が微振動し音鳴きが発生します。しかし導電性高分子コンデンサにはこの圧電効果がないため、音鳴き、微振動は発生しません。

・素子のクラックが発生しない
MLCCは硬度の高い材料(セラミック)を使用しているため、基板実装時の機械的/熱的応力、基板実装後の基板のたわみなどの機械的応力によって割れることがあります。しかし導電性高分子コンデンサはMLCCのような素子のクラックは発生しません。

パナソニックでは下記4種類の商品で導電性高分子コンデンサの市場をフルカバーしています。

名称 SP-Cap POSCAP OS-CON Hybrid
導電性高分子アルミ電解コンデンサ 導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ 導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ
形状
主な特長 業界トップクラスの超低ESR
・リプル、ノイズ低減効果大
・高周波特性に優れMLCC代替に最適
小形、大容量、低ESR
・小形・省スペースに貢献
・小形・大容量でMLCC代替に最適
高耐圧、高リプル電流対応、低ESR
・高耐圧レンジまで広くリプルノイズ低減に貢献
高信頼性、高耐圧、低ESR
・アルミ電解コンの小形化や長寿命化に貢献
定格電圧 2V~6.3V 2V~35V 2V~100V 25V~80V
静電容量 68µF~820µF 3.9µF~1500µF 3.3µF~2700µF 10µF~1000µF
ESR 15mΩ~3mΩ 400mΩ~5mΩ 260mΩ~5mΩ 120mΩ~8mΩ
サイズ(面積) 7343 7343, 3528 - -
サイズ(高さ) 2.8mm~1.0mm 3.8mm~1.1mm 13.0mm~4.5mm 16.8mm~5.8mm

この記事に関する製品情報

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