冷凍サイクルにおける環境問題と冷媒の動向
《 オゾン層破壊問題 》

《 地球温暖化問題 》

冷凍サイクルに使用される冷媒は、まずオゾン層を破壊する性質の強いCFC(R12等)規制が1996年に全廃され、引き続きオゾン層破壊の性質が残るHCFC(R22等)の2020年までの段階的フェーズアウトが決まっています。
更に、代替冷媒として開発・実用化された塩素を含まないHFC(R134a、R407C、R410A、R404A等)も地球温暖化係数が高いことから、1997年に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)において、大気中への放出の規制対象物質に指定されることになりました。このような背景のなかで欧州では、強い環境意識からフロンのような合成物ではなく自然界に存在する物質を冷媒として見直す動きが高まり、COP3の後は欧州だけでなく日本、アメリカも自然冷媒に注目するようになりました。
自然冷媒CO2の特徴
自然冷媒とは、自然界に存在する物質で、地球環境への負荷は、人為的に合成されたフロン系物質に比べてはるかに小さい影響しか与えないことが大きな特徴です。
現在、注目されている自然冷媒としては、ハイドロカーボン、アンモニア、CO2、水、空気等がありますが、ハイドロカーボンやアンモニアは可燃性や毒性の問題があり用途が限定されるため、CO2冷媒が今後最も注目されるものと思われます。
CO2も地球温暖化係数はゼロではありませんが、CO2を用いた機器が廃棄され、冷媒として利用したCO2が放出された場合の影響は各種エアコンが全てCO2に置き替わったとしてもわが国のCO2発生量の0.0013%でしかありません。
《 長所 》
- 環境への負荷が小さい(ODP=0、GWP=1)
……工業用製品の製造過程で排出されるCO2を活用可能。 - 可燃性、毒性がなく安全。
- ガス密度高く、熱交換器はじめシステムのコンパクト化が可能。
- 加熱・冷却・同時運転が可能。
- 昇温度差が大きい加熱プロセスでは高いCOPが期待できる。