コンデンサの実装面積を削減! ~シミュレーションを活用した部品の最適化検討事例の紹介~

 

コンデンサの実装面積を削減!
シミュレーションを活用した部品の最適化検討事例の紹介

2022-09-23

車載アプリケーションを手がけるお客様においては、開発期間の短縮とアプリケーションの小型化は常に大きな課題です。パナソニックでは、回路/基板の設計者が直面するこうした困りごとの解決に役立つ、幅広い商品ラインアップを用意しています。本稿では、制御系やモータ系のアプリケーション設計における困りごとを、パナソニックの導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ(以下ハイブリッドコンデンサ)によって解決した事例を紹介します。

アプリケーション設計の要求と課題

パナソニックのハイブリッドコンデンサは、車載アプリケーションのDC/DC電源回路の入力用および出力用コンデンサとして多く採用いただいています。そうしたアプリケーションメーカーの回路/基板の設計者が、上流のクライアントからの要望で困っている内容の具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 従来サイズを維持したまま負荷変動時の電圧変動を小さく抑えたい
  • アプリケーションの軽量化や小型化のため、最適な部品の選定や置換え評価に
    時間がかかる

また実際に基板を設計する段階になってからも、以下のようなお困りごとを伺うことがあります。

  • 高さは余裕があるが、基板の実装面積が足りない
  • 部品点数を減らさなければ基板に収まらない
  • ノイズ対策部品を追加するためのスペースを確保したい
パナソニックのコンデンサ設計サポート
パナソニックのコンデンサ設計サポート

エンジンECUやADAS DCU(Domain Control Unit)など制御系アプリケーションや、電動-コンプレッサ、電動ポンプ、EPSなどのモータ系アプリケーションの電源回路における、こうした困りごとに対して、パナソニックでは、ハイブリッドコンデンサを活用した最適な設計をサポートします。

ハイブリッドコンデンサによる提案事例

ここでは、エンジンECUやADAS DCUなどの制御系アプリケーションで使われている「12V出力DC/DC電源」の基板小型化を目的として、従来品3個使用していた出力用コンデンサを1個で置き換えるという提案事例を紹介します。

回路図
回路図
コンデンサ仕様
コンデンサ仕様
図 12V出力 DC/DC電源の回路図とコンデンサ仕様

出力用コンデンサの置換えを検討する場合、コンデンサの容量値、ESR値、ESL値が変化することによる電気特性への影響や、電源設計上の様々な制約を考慮する必要があります。当社ではハイブリッドコンデンサの幅広いラインアップから電源の特性や設計上の制約をクリアする最適な商品をご提案します。上図で示したDC/DC電源回路において、出力用コンデンサに定格25V 330μF、サイズ10×10.2mm、リプル電流2.0Arms、ESR 20mΩのハイブリッドコンデンサZCシリーズを3個並列使用しています。
 基板の省スペースのため員数を削減する場合、容量は560uF以上の製品が検討候補となります。当社製品では、ZS(560uF)、ZU(560uF)、ZSU(560uF, 1000uF)、ZKU(560uF)が検討の候補として上げられます。今回の提案事例では最も削減効果が期待できるZSU(1000uF)による置換え検討例をご紹介します。

 

下図は、負荷急変時の電源出力電圧のシミュレーション評価結果となります。
ハイブリッドコンデンサZSUシリーズ(定格25V 1000μF、サイズφ10×16.5mm、リプル電流 4.0Arms、ESR 11mΩ)1個で負荷変動の立ち上がり、立ち下がりともに電源電圧は現行設計と同等の性能を示しており、基板実装面積を約66%削減できる置換えが可能と言えます。

図 負荷急変時の負荷過渡応答のシミュレーション評価結果
図 負荷急変時の負荷過渡応答のシミュレーション評価結果

以上のような設計検討をお客様自身で行われる場合、数多くのコンデンサ製品からスペックを基に適切な製品を探し出さなければならず、非常に手間と時間がかかります。また、スペックの数値だけの検討では、結果として余裕のありすぎる製品を選ぶことになりがちで、最適化できない可能性があります。回路の試作と検証を行うことで最適化は可能ですが、それには大きな労力、時間、コストがかかってしまいます。

まとめ

お客様によるハイブリッドコンデンサのご検討にあたり、パナソニックは、お客様からの電源回路についてのご使用条件に基づいた最適な製品のご提案が可能です。これはスペック表には出てこない製品の特性を把握しているメーカーだからこそ提案できることです。シミュレーションツールなどを活用しながら、これからもお客様のアプリケーションにおける最適化設計をサポートし、手間、時間、コストの削減に貢献します。

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