チップ抵抗器 使用環境による故障事象と故障モード

チップ抵抗器の商品仕様を超える過度な使用環境では、抵抗値増大/オープン(断線) や抵抗値低下/ショート(短絡)などの故障に至ることがあります。以下の表を参考の上、使用環境にご注意ください。 ご使用の際は、 「安全上の注意事項」 もご確認ください。

*各故障事象をクリックすると、解説へ移動します。

使用環境   故障事象   故障モード
  化学的要因   電気的要因   物理的要因  
                                     
                                     
  ハロゲン成分の付着                               抵抗値低下/
ショート (短絡)
 
                                 
  *事例 : フラックス
           ポストフラックス
           接着剤 等
                                 
                                抵抗値増大/
オープン (断線)
 
                                 
                                   
  硫黄を含む雰囲気                                
                                 
  *事例:火山、温泉地帯
           排気ガス
           オイル 加硫ゴム 等
                               
                                 
                                 
                                   
  過度な機械的応力                                
                                 
  *事例:はんだ量過多
           過度なリフロープロファイル
           モールド樹脂 等
                               
                                 
                                 
                                   
  電気的過負荷                                
                                 
  *事例:電圧/電流
           静電気
           パルス 等
                                 
                                抵抗値低下  
                                 
                                     
                                     
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マイグレーション

マイグレーションとは、陽極の金属がイオン化して陰極に移動し、再び陰極で金属としてツリー状に生成される現象です。
マイグレーションは、お客様の実装工程でフラックスや接着剤等に含まれるハロゲン成分の付着、市場環境で水分の付着、及び抵抗器への通電の3要因が重なった場合に発生する可能性がある故障事象です。

対象商品 抵抗器全般 (電子部品全般)
故障モード 抵抗値低下/ショート (短絡)
故障事象 マイグレーション (陰極から陽極に向かって金属がツリー状に生成)
故障メカニズム ハロゲン成分(F,Cl,Br等)が活性な状態で抵抗器に付着したまま残存した場合、保護膜の劣化(剥離)を起こし、その劣化部分から侵入した水分と電位により、内部電極がマイグレーションを起こす。
 *抵抗器外部(はんだのSn)でも発生する。
解決策 ・ノンハロゲン洗浄剤でハロゲン成分を除去する。
・フラックスや接着剤を使用する場合は適切な熱処理を行いハロゲン物質の活性力をなくす。
*上記2点の内1点は必ず実施ください。

電解腐食

電解腐食は、お客様の実装工程でフラックスや接着剤等に含まれるハロゲン成分の付着、市場環境で水分の付着、及び抵抗器への通電の3要因が重なった場合に発生する可能性がある故障事象です。

対象商品 極薄のニッケルクロム合金抵抗を有する薄膜抵抗器全般
故障モード 抵抗値増大/オープン(断線)
故障事象 電解腐食
故障メカニズム ハロゲン成分(F,Cl,Br等)や硫化ガス(S)が活性な状態で抵抗器に付着したまま残存した場合、保護膜の劣化(剥離)を起こし、その劣化部分から侵入した水分と電位により、抵抗体(NiCr系)が電解腐食を起こす。
解決策 ・ノンハロゲン洗浄剤でハロゲン成分を除去する。
・フラックスや接着剤を使用する場合は適切な熱処理を行いハロゲン物質の活性力をなくす。
 *上記2点の内1点は必ず実施ください。
・硫黄を含む雰囲気を除去する、隔離。 *必ず実施ください。
故障事例 実例として下記のような故障が発生しています。今一度御使用時にこのようなリスクがないかご確認ください。

事例1 : フローはんだ付け時のポストフラックスの熱処理ミスによるハロゲンの活性力残差の影響で電解腐食が発生

<フローはんだ用ポストフラックス、手はんだ用フラックス、リワーク用はんだ使用時の注意点>
①洗浄によりフラックスを除去する
②230℃以上でのフラックスの完全硬化(ハロゲンの活性力をなくす)
  フラックスに中途半端な温度(100~150℃など)が加わると、ハロゲン活性力を高める為、注意下さい
③フラック塗布時の周辺部品への飛散防止

事例2 : ハロゲンを含んだ部材の影響で、電解腐食が発生

<部材選定時の注意点>
①事前に分析し、ハロゲンを含まない事を確認
②230℃以上での接着剤の完全硬化(ハロゲンの活性力をなくす)

硫化

硫化とは、硫黄成分によって内部電極が電解腐食する現象です。
硫化は、実装時のストレスにより上面電極が露出した状態に加え、硫化雰囲気に晒された場合に発生する故障事象です。

対象商品 内部電極に銀を有するチップ抵抗器全般
故障モード 抵抗値増大/オープン(断線)
故障事象 電解腐食
故障メカニズム 硫黄成分(S)が保護膜とめっきの隙間から侵入し、内部電極(銀:Ag)と反応し、硫化銀(Ag2S)となり絶縁化する。
解決策 硫黄を含む雰囲気の除去、又は隔離する。
硫黄を含む部材は使用しない。

電極剥がれ

電極剥がれは、過多なはんだ量、推奨リフロープロファイルを超える熱衝撃、モールド樹脂の硬化収縮等の機械的ストレスにより発生する故障事象です。

対象商品 チップ抵抗器全般
故障モード 抵抗値増大/オープン(断線)
故障事象 はんだ応力による電極剥がれ
故障メカニズム リフロー時の過度なはんだ収縮やプリント基板のたわみ、モールド樹脂の硬化収縮等により中間電極が剥がれる。
解決策 ・リフロー条件の適正化 (それぞれの商品仕様を参照してください)
・実装時のはんだ量適正化 (下記を参照してください)

はんだクラック

はんだクラックは、主にお客様の使用環境における熱衝撃ストレスにより発生する故障事象です。

対象商品 チップ抵抗器全般
故障モード 抵抗値増大/オープン(断線)
故障事象 熱膨張係数差によるはんだクラック (はんだ疲労)
故障メカニズム 熱衝撃ストレスが加わった際にプリント基板(PCB)と抵抗器の熱膨張係数差により、はんだにクラックが発生する。
解決策 ・加わる可能性がある熱衝撃を把握した上で、適切な部材(PCB、はんだ)を選定する。
 *はんだクラックの対策として、はんだ量を増加する、はんだの硬度を上げる、という対応をすると、電子部品へのストレスが大きくなり、電極剥がれ等の不具合が発生する可能性があるので、適切な対応ではありません。
  (はんだが受けていたストレスが全て電子部品へ加わるようになるため)

抵抗体損傷

抵抗体損傷は、過負荷、過度なESD、過度なサージ・パルス等により発生する故障事象です。

対象商品 チップ抵抗器全般
故障モード 抵抗値増大/オープン(断線)
故障事象 電気的過負荷による抵抗体損傷
故障メカニズム 過負荷、過度なESD、過度なサージ・パルスにより瞬間的に大きな電流が流れ、抵抗体が発熱、破壊損傷し、抵抗値増大や断線(オープン)に至る。
解決策 ・抵抗器使用におけるESD管理
・抵抗器の限界負荷を超えない回路設計
 *詳細についてはお問合せください。

抵抗体劣化

抵抗体劣化は、極短時間の過負荷、過度なESD、過度なサージ・パルス等により発生する故障事象です。

対象商品 ガラス含有の抵抗被膜を有するチップ抵抗器(厚膜抵抗器)
故障モード 抵抗値低下
故障事象 電気的過負荷による抵抗体劣化
故障メカニズム 極短時間の過負荷、過度なESD、過度なサージ・パルスにより抵抗被膜の絶縁成分(ガラス)が破壊され、抵抗値が低下する。
解決策 ・抵抗器使用におけるESD管理
・抵抗器の限界負荷を超えない回路設計
 *詳細についてはお問合せください。